困窮邦人と呼ばれる方たち
「日本を捨てた男たち」 水谷竹秀著
という、いささかショッキングなタイトルと内容の本を読みました。
この本に書かれているのは、フィリピンで現在社会問題になっている、
困窮邦人
と呼ばれる方たちです。
その方たちの多くは、日本のフィリピンクラブなどで知り合った女性を追いかけてフィリピンに渡り、有り金を使い果たして、不法滞在にもなってしまい、日本へ帰国する費用が払えず、ホームレスにまでなってしまっているというのです。
この困窮邦人の方たちを巡る状況というのは、今現在の日本において、経済的弱者と呼ばれる多くの方たちにも当てはまるのではないかとさえ思います。
こういった困窮邦人の方の救済のために、
「国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律(国援法)」
という法律もあるのですが、一読していただければわかるとおり、「〜できる。」と条文には書かれているのです。つまり、基本的には、援助するかしないかは、領事官あるいは厚生労働大臣の裁量に任されているのです。
国の財政が逼迫している中で、困窮邦人の方たちに援助をすることは、なかなか難しいのもわかるのですが(とくに、困窮するに至った事情が同情しがたい場合)、
人の命がお金で左右されてしまうのが現実というのも、何か寂しい感じがします。