判子をついても、諦めないで下さい

この世は,契約で成り立っています。
コンビニでお弁当を買うのは,売買契約です。
他人からお金を借りるのは,消費貸借契約です。
どこかの会社に勤めるのは,雇用契約です。

……というように,皆さんが,何かお金を払う・もらうときには,契約に基づいていることがほとんどです。
ですから,一旦結んだ契約は,守らなければならないのが原則です。守らなければ世の中は成り立たなくなります。
しかし,一旦結んだ契約は,それがどんなに不合理な契約でも,守らなければいけないのでしょうか。

世の中には,悪徳業者がおり,皆さんの隙を突いて,皆さんにとって著しく不利益な契約を結ぼうとしています。
そんな著しく不利益な契約は,守る必要はありません。守る方がむしろ世の中に害をなすからです。
法律でも,消費者契約法10条によって認められています。条文をご覧下さい。
民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」

要するに,常識的に見て,消費者に一方的に害を及ぼすような契約は,無効になるという訳です。
もちろん,何が無効になるかというのは,条文上はっきりしていませんから,「たとえば,○○という契約なら無効になる」とは言えません。
しかし,一旦契約を結んでしまっても,つまり,サインや判子をついてしまっても,なお無効になることがありうるということは,是非覚えておいてください。
そして,ちょっとでも契約に疑問があれば,「これは無効なのではないか」というように,弁護士に相談していただければと思います。
契約を結んだからと言って,絶対に駄目だとは限りません。ひょっとしたら,無効になる場合もありうるのです。