紛らわしい法律用語

パソコン遠隔操作の事件で、保釈されていた被告人が保釈取消を受けました。その際、保釈保証金が「没収」(ぼっしゅう)されたと報じたマスコミがありましたが、正しくは「没取」(ぼっしゅ)です。
お金が戻ってこないという意味では同じなうえに、読み方も似ているので紛らわしいのですが、没収は刑罰であり、没取は刑罰ではないという意味で、内容は異なります。つまり、パソコン遠隔操作の被告人も、まだ刑罰を受けたわけではないのです。

 紛らわしいといえば、「被告」と「被告人」も紛らわしいですね。
 民事で訴えられた人は「被告」であり、刑事で訴えられた人を「被告人」といいます。民事と刑事は全く別物なので、「被告」と「被告人」の内容も全く異なります。
しかし、「人」1文字の差しかないうえに、「被告人」は「被告」と略されることも多いので、紛らわしいですね。

もっと紛らわしいのは「勾留」と「拘留」でしょう。
身体を拘束されるという意味では同じなうえに、読み方は両者とも「こうりゅう」と全く同じなので紛らわしいですが、内容は全く異なります。
「勾留」は、判決確定前、証拠隠滅等の防止のために身体を拘束するものであり、「拘留」は判決確定後、刑罰として身体を拘束するものです。
ですから、「勾留」であれば、有罪判決確定前なので、無罪の可能性があるのですが、「拘留」であれば、有罪が確定したということになります。

法律用語は紛らわしいものが多いですが、違いを知っておくと、ニュースがより面白くなるかも知れません。