「売買契約はいつ成立する?」

 わたしは,かつて,このような問題をインターネットを使って出したことがあります。
 「売買契約は,いつ成立するのでしょうか。次の4つから選んでください。
  1 『売ります』『買います』の合意が成立した時点
  2 契約書を作成した時点
  3 お金を払った時点
  4 売ろうとした物が買主に渡された時点」

さて,正解はどれでしょうか。画面をスクロールする前に,皆さんも少し考えてみてください。







 正解は,「1」です。合意さえあれば,売買契約は成立します。ちなみに,この問題の正解率は52%でした。約半分の方がお間違えになったということです。
 これは,スーパーでの日常的な買い物ではもちろん,何千万という物の売買でも同じことなのです。では,契約書は何のために作るのかと言いますと,あくまで売買契約の証拠として作るに過ぎません。ですから,契約書がなくても,契約書以外の方法で売買契約が立証できるならば,契約成立と認められる可能性は十分にあります。

 ですから,知っておいていただきたいのは,口頭であっても,うかつに「この品物を買っても良いよ」などと言ってはいけないということです。「契約書がないから,後でいくらでも破棄できる」などと思ったら大間違いです。仮に,「この品物を買っても良いよ」という内容が録音でもされていたら,あとで,代金を請求されるかも知れません。
 特に,悪徳業者に録音されていると,話はよりややこしくなるでしょう。皆様も重々お気を付け下さい。