質問力

1 最近,質の高い質問をしようと啓蒙する動きがあります。一般には,会話の流れを止めず,議題を明確にし,結論へとスムーズに導くような相槌のような質問や,数式の矛盾や飛躍を突くような目の覚めるような質問をしようと努力されるかもしれません。
2 私もそのような質問もかっこよくて,素晴らしいと思いますが,もっと自分が理解できないことを素直に質問することが大切だと思います。
3 そのように思うようになったきっかけは,あるNPOの代表者と会合をしたときの代表者の質問を聞いた時でした。
 参加者の事例報告に対して参加者がいろいろ質問をする機会があったのですが,代表者の方は,「何でこんなこと聞くのだろう。」と思うような,私からすると突飛な質問をすることがありました。報告者の話の腰を折りかねないような質問もあえてしていました。
 代表者の方は純粋に興味のあることを聞いているのであって,そもそも,相槌を打とうとか,スマートな質問をして参加者から鋭い質問をすると感心されようとは思っていないようでした。
4 代表者の方と私が実際に話してみて感じたことは,代表者の方が私や私の所属する法テラスに強い興味を持っているというメッセージを,質問を通じて発しているのだなということです。
 質問力の向上について悩んでいる方がいらっしゃいましたら,スマートな質問を目指すよりも,相手の話に興味を持って,分からないことをどんどん聞いて相手を理解しようという姿勢を示すのも一つの選択肢だと思います。