少年事件の手続きについてのお話です。
 少年法は第1条で、その目的を、「この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」と規定しています。このように、少年事件については、「刑罰を科す」ということが目的なのでは無く、少年の環境を調整し更正のサポートをする「保護処分」を行うことを目的としています。
 なので、少年事件の手続きも、大人の刑事手続きとは異なっています。
 今日は、逮捕された少年の手続きについて、ざっくりと概要だけお話します。もちろん、例外もありますので、ご了解ください。
 まず、少年(20歳未満)も、大人と同じように逮捕されることはあります。逮捕された少年は、大人と同じように、警察署等の留置施設にいることが多いです。引き続き身柄を拘束する必要があると判断された場合は、逮捕後72時間以内に、勾留という手続きになりますが、見た目は変わりがありません。勾留されてから、原則10日、最大20日の間、留置施設等での取り調べが行われます。
その後、大人と異なり、すべての事件をいったん、家庭裁判所に移し、家庭裁判所で判断することになります。それは、上記のような保護処分という性格上、少年保護のプロである家庭裁判所に判断をしてもらおうと意味があります。
 家庭裁判所に事件が送られた後、逮捕された少年は、身柄を解放されるか、そうでなければ、「観護措置」といって鑑別所に送られることになります。鑑別所では、医学・心理学・教育学・社会学などの専門的な知識に基づいて、少年の資質の鑑別を行います。具体的には、心理検査や知能検査、行動観察、その他にも、作文や読書、運動などが行われます。この期間は、原則2週間なのですが、残念ながら、実務上は4週間となることが多くなっています。
 なお、審判までの間に、家庭裁判所の調査官による、調査が行われます。調査方法は、少年の面接、保護者の面接、学校への照会等で、調査内容は、生育歴等です。
 これらの過程を経て、家庭裁判所での審判となります。
 審判は、少年、保護者、裁判官、調査官、付添人がついている場合には付添人が出頭します。原則非公開で、特に複雑な事件でない場合には、その場で審判の結果が言い渡されます。審判は、少年院送致、児童自立支援施設/児童養護施設送致、保護観察、試験観察、不処分、そして、検察官送致となります。検察官送致となるのは、少年が20歳を超えてしまった時、及び、重大事件の場合になされるもので、ごく一般的な事件では検察官送致となることはまずありません。
 以上が、大まかな少年事件の流れです。

なお、少年法の厳罰化については、先日、静岡県弁護士会が反対の会長声明を発出しました。弁護士会のホームページに掲載されているので、興味のある方は、ご覧ください。