要件と効果について

法律的な考え方ができることをリーガルマインドと言います。
法律的な思考方法とは,要件と効果で考えることです。条文にあらかじめ規定された法律要件が満たされることによってのみ,権利・義務という一定の法律効果が発生するという前提で物事を考えることです。 
たとえば,民法で一番有名な709条は,「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護された権利を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しています。
これを要件と効果に分類すると
(要件)①他人の権利又は法律上保護された権利を侵害した
    ②前記①が故意または過失によるものであること
(効果) 要件①によって生じた損害の賠償責任(相手方にとっては請求権)が発生したこと。
となります。
今まで起きたことのないような事件が発生したときが起こったとき,リーガルマインドを備えた人は,「誰のどのような権利が侵害されたのか?」「その権利は法律上保護されるのか?」「行為者は権利侵害について予見可能性があったのか?」「どこまでの損害を賠償する責任があるのか?」という観点からアプローチします。
場合によっては,条文の文言をそのまま適用しようとすると非常識な結論に至ることもあります。そこで,常識的な解決を導くように文言を解釈するのがわれわれ法律家の仕事です。