1 法律家の書く文章は悪文だと言われることがあります。特に,研究論文等の内容の正確さが必要となる文章の場合,一文の中でいろいろな情報を列挙し,場合分けを行い,一読して意味のわからない文章に多く接します。
弁護士も同じく法律家です。裁判所に提出する文章を書くときは,内容の正確さには敏感になります。
2 一方で,弁護士の文章は,法律には素人の依頼者にも確認してもらう必要があります。依頼者が一読して理解できない文章を書いた場合,「さすが先生,格調高い文章をお書きになる。」と喜んでもらえるような時代はもはやありません。
3 私は,内容の正確さもさることながら,一読して分かりやすい文章となるように心がけていることがいくつかあります。
一つ目は,「文章のサマリーとなるような見出しをつけること」です。その段落の主題を見出しとして付けることを心がけます。これによって,読者に何を論じているのか予告することができます。
次に,一文を3行以内でおさめることです。一文が短いと頼りなく,か細い論理展開になっているのではないかと思われるかもしれませんが,必ずしもそうではありません。複数の意味内容を一文に盛り込まず,一文では一つの意味内容に絞った文章になるので,すっきりすると思います。
三つ目に,複数の情報を盛り込む時は箇条書きにしたり,一覧表にすることです。無理に一文に盛り込もうとすると文章が間延びして読みにくくなります。
最後に,かっこ書きは単語の補足にとどめることです。これは,英文法の関係代名詞としてかっこ書きを利用することです。そもそも,かっこ書き自体文章の流れを断つのでお勧めできません。
4 以上,悪文の例文のような文章でしたが,何かの折にご参考ください。