医療費控除

 皆さん、医療費控除というのをご存知でしょうか。
「医療費を多く(10万円以上)払ったときにお金が戻ってくる」
 と認識されている方も多いかもしれませんが、医療費控除について誤解されている方も多いので、書いてみたいと思います。
 
 まず、医療費控除とは、「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けること」(国税庁HP)です。
 たまに、医療費控除について、「10万円を超える医療費が掛かった場合、10万円を超える金額についてはお金が戻ってくる」と考えている方がいらっしゃいますが、そうではありません。
 所得控除が減るだけであり、納めるべき税金の金額が低くなる又は納め過ぎた税金が戻ってくるに過ぎません。ですので、税金を納めていない方は、お金が戻ってくることはないですし、税金を納めており、戻ってくる場合であっても、その金額はその方の所得税率によることになります。(つまり、所得税率が高い人ほど、還付金の還元率が高くなります)

 では、医療費控除を行うためには、どのような手続きを行えばいいのでしょうか。
 確定申告を行う義務がある方は、確定申告の中で医療費控除の手続きを行うことになります。一方、給与所得者といった確定申告を行う義務がない方は、還付申告を行い、医療費控除の手続きを行うことになります。
 さて、還付申告とは、「確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。」(国税庁HP)とあるように中身は確定申告と変わりません。
 なら「還付申告と言い換えずに、確定申告と言えばいいじゃないか」と思うかもしれませんが、この点、確定申告の期間は、翌年の2月16日から3月15日、還付申告の期間は、翌年の1月1日から5年間の期間内に行うことができるといった違いがあります。
 
 確定申告をされている方は、医療費控除について当然理解されているはずなので、確定申告を行わない給与所得者向けに書いてみました。私も歯列矯正を行っているので、今年還付申告を行う予定です。
 ただ、弁護士は、税金の専門家ではありません(もちろん税務訴訟を専門にした弁護士もいますが)し、税金について分からないことがあれば、税理士又は税務署を訪ねるのが一番だと思います。