「危険ドラッグ」

 たまには、歯列矯正ではなく、法律の話をしてみます。
 最近、「危険ドラッグ」という言葉がよく使われるようになりました。「危険ドラッグ」にピンと来なくても、「脱法ドラッグ」であればピンと来る人は多いと思います。
 この「危険ドラッグ」は、今年度7月22日に「脱法ドラッグ」の新しい呼称として発表されたものです。「脱法ドラッグ」では、覚醒剤大麻などと同様の、又はそれ以上の薬理作用がある物質であるにもかかわらず、「脱法ドラッグ」という呼称が、その違法性、危険性について、あたかも合法であるかのような誤解を与えることもあったことから「危険ドラッグ」と改称されたようです。(警視庁HPより)
 そもそも、「脱法ドラッグ」が生まれた経緯としては、法律で取り締まることができないドラッグを指す「合法ドラッグ」という言葉が誕生しました。ところが、合法ドラッグに医薬品成分が入っており、厳密には薬事法に違反していることが判明したことから、合法ではなく「脱法ドラッグ」という呼称になったようです(麻薬指定はされていないものの、薬事法に違反しているので合法とは言い難いということなのでしょうか)。
 まあ、呼称に関する歴史は置いておくとして、現在までに麻薬指定されるものはかなり増えています(麻薬に指定されると、「麻薬及び向精神薬取締法」により、輸入、輸出、製造、製剤、小分け、譲り受け、譲り渡し、所持、施用がすべて禁止されます。)。しかし、麻薬指定されたもの以外を使用してドラッグを作り出すといったイタチごっこの状態が続いており、根本的解決にはなっていません。
 麻薬指定を個別にせず、包括的に危険な物質を指定すればいいじゃないかと思う方もいらっしゃるかと思いますが、規制の対象が広くなり過ぎることや製薬研究に支障が生じるという懸念があり、難しいところです。
 ただ、薬事法改正により指定薬物の包括指定がなされ、危険ドラッグを取り締まることが容易になりましたので、今後、危険ドラッグの流通を抑えることができるかもしれませんね。