親が亡くなる前にやっておくべきこと

 親が亡くなるというのは,大変悲しいことです。
 ですから,亡くなることを前提に何かをするというのは,縁起でもないことは重々承知しております。
 しかし,亡くなってから何かをするというのは,意外と大変なことなのです。
 そこで,本日は,親が亡くなる前にやっておくべきことをお話ししようと思います。
1 親の財産関係を確認しておく
  親が亡くなると,子であるあなたに対し相続が発生するでしょう。
  通常は,普通に相続すれば十分かと思います。
  しかし,借金の方が多い場合には,「相続放棄」といって,親の財産を放棄する代わりに,親の借金も受け継がないという制度を使った方が良い場合もあります。
  相続放棄は,親が亡くなったのを知ってからから3か月以内に手続をしなくてはならないのが原則です。
  しかし,親が亡くなると,何も考えられず,相続放棄をするか否かの決断をするのも難しい状況になる可能性は,十分にあります。
  そこで,親の生前に,財産の有無・借金の有無を確認して,万一の際に,相続放棄をするのかしないのかを考えておくことは,有用なことだと思います。
2 親の預貯金を引き出しておく
  親が亡くなると,大抵の銀行は,口座を凍結し,相続の手続が終了するか,相続人全員の同意書がない限り,引出に応じてくれません(この運用にも疑問はありますが,今日は,そこまで言及しません)。
  つまり,口座凍結をされてしまうと,口座の中のお金を,病院代,葬式費用,祭祀財産(墓石・仏壇など)を購入費用に充てることは困難となります。ですから,万一の時が近づいた場合,親名義の預金は引き出しておいた方が,無難なのです。
  ただ,後日の紛争を防ぐため,引き出した親の預貯金は,新たにあなた名義の口座を作るか,ほとんど使っていないあなた名義口座に入金し,引き出す度に,通帳に使途を記入し,領収書も保管しておくことを強くお勧めします。
  そうしないと,後日,他の相続人から「預金を使い込んだ」などと言われる恐れがあるからです。

  ほかにも,やっておくべきことはありますが,今日はここまでにしたいと思います。